そのタイヤ、本当に飛んでいきませんか?
~足回りとパワステの異音・ガタつきを、整備士が徹底解説~
前回は、車にとって最も重要な「走る・曲がる・止まる」の中から、「止まる(ブレーキ)」についてご紹介しました。
今回は、その続編として「曲がる」についてお話ししたいと思います。
「タイヤが飛んでいくなんて大げさじゃないの?」と思われる方もいるかもしれません。
しかし実際に、足回りの部品の摩耗や破損を放置したことで、ステアリングの操作ができなくなったり、タイヤを支える部品が破損して重大事故につながることはあります。だからこそ、「曲がる」ための点検は、ブレーキと同じくらい重要なのです。
この記事では、足回りの異常で現れる症状、原因となる部品、パワステの故障との違い、そして異常を感じたときの対処法まで、整備士の視点で解説します。
足回りの故障で現れる5つの症状
タイロッドエンドやボールジョイント、ロアアーム・ブッシュ類といった足回りの部品は、走行距離や年数とともに少しずつ摩耗していきます。摩耗が進むと、以下のような症状が段階的に現れます。
段差で異音がする
段差を通過したときに「コトコト」「ガタガタ」といった異音がする場合、ボールジョイントやブッシュ類の劣化が考えられます。
ハンドルがふらつく
直進中や高速走行中にハンドルがふらつく場合、タイロッドエンドやロアアームの摩耗によって、ホイールアライメント(タイヤの角度)が崩れている可能性があります。
タイヤが偏摩耗する
タイヤの内側や外側だけが極端にすり減っている場合、足回り部品の劣化やアライメントのズレが原因であることが多く、放置するとタイヤの寿命も縮んでしまいます。
ハンドルが重くなる
これはパワステ(パワーステアリング)側の不具合で起こることもあれば、足回り部品の破損が原因のこともあります。原因の切り分けには専門的な点検が必要です。
車がまっすぐ走らない(左右に引っ張られる)
ハンドルをまっすぐにしているのに車が左右どちらかに引っ張られる場合も、足回り部品の摩耗やアライメントのズレが疑われます。
ひとつでも当てはまる症状があれば、放置せず早めの点検をおすすめします。
足回りの異常を引き起こす主な部品
先ほどの症状の多くは、以下のような足回りの部品の摩耗や損傷が原因です。
タイロッドエンド
ステアリングとタイヤをつなぎ、ハンドルの動きをタイヤの向きに伝える部品です。摩耗するとハンドルの遊びやふらつきの原因になります。
ボールジョイント
サスペンションとタイヤの取り付け部分を可動式に連結する部品です。劣化すると段差での異音やガタつきが発生しやすくなります。
ロアアーム・ブッシュ
サスペンションを支える骨格部分(ロアアーム)と、その振動を吸収するゴム部品(ブッシュ)です。劣化するとハンドルのふらつきやタイヤの偏摩耗につながります。
パワステの故障と足回りの故障は何が違う?
「ハンドルが重い」「異音がする」といった症状は、パワステと足回り、どちらの不具合でも起こり得ます。原因によって危険度や対処法が異なるため、違いを理解しておきましょう。
油圧式と電動式の違い
パワーステアリング(パワステ)は、ハンドル操作をサポートする装置で、現在販売されている車のほとんどに搭載されています。もしパワステが付いていなければ、停車中や駐車時のハンドル操作は非常に重くなり、快適に運転することは難しいでしょう。
現在主流のパワステには、大きく分けて2種類あります。
- 油圧式パワーステアリング:エンジンの力を利用してオイルに圧力をかけ、その油圧でハンドル操作を補助する仕組みです。最も多いトラブルはパワーステアリングオイルの漏れで、進行すると突然ハンドルが重くなることがありますが、定期点検によって早期に発見できるケースが多く、早めの修理で大きな故障を防げます。
- 電動式パワーステアリング(EPS):モーターの力でハンドル操作を補助するシステムで、近年はこちらを採用する車種が増えています。
故障した場合の注意点
「パワステが壊れたらハンドルが効かなくなる」と思われる方もいますが、それは正確ではありません。一般的なパワーステアリングでは、アシスト機能が故障しても機械的な連結が維持されていれば操舵できる場合があります。ただし、通常よりも大幅に大きな力が必要になることがあり、これはステアリング機構自体の破損とは区別して考える必要があります。ハンドル操作に強い違和感がある場合は、無理に走行を続けず、安全な場所に停車したうえで、必要に応じてレッカーの手配も検討してください。
電動式パワーステアリングが故障した場合、原因はモーター、トルクセンサー、コンピューター(ECU)、配線など車種によってさまざまです。警告灯の点灯やアシストの異常を感じた場合は、診断機による故障コードの確認と、電源・配線・機構部の点検が必要です。
足回りの異常を放置するとどうなる?
実は、「曲がる」という性能で最も注意していただきたいのは、パワステよりも、タイヤを支えている足回りの部品です。最初は小さなガタつきでも、放置して乗り続けると部品が破損し、タイヤを正常に支えられなくなることで重大事故につながる可能性があります。
ブレーキだけが安全ではありません。思った方向へしっかり曲がれることも、事故を防ぐためには欠かせない性能です。走行中にステアリング操作を失ってしまえば、大きな事故につながる危険があります。だからこそ、以下のような小さな変化も見逃さないことが大切です。
- ハンドルが少し重くなった
- 今までになかったような音がする
- 段差や旋回時に違和感がある
- 車がまっすぐ走らない(左右に引っ張られる)
- ハンドルがまっすぐではない
マレーシアで足回り点検が重要な理由
日本の車検では、保安基準に基づいてステアリングや足回りの状態が検査されます。一方、マレーシアで日常的な整備を受ける際も、オイル交換だけでなく、足回りの状態を確認することが大切です。
マレーシアでは、オイル交換だけを依頼される方も多く、足回りまで十分に点検されていないケースがあります。また、異常が見つかっていても、交換の重要性が十分に伝わらず、そのまま乗り続けてしまうことも少なくありません。
そのため、「オイル交換だけをしていれば安心」というわけではないのです。
異常を感じたときの対処法
段差での異音、ハンドルのふらつきや重さ、タイヤの偏摩耗など、気になる症状がある場合は、次のように対応してください。
- 走行中に大きな異音や振動を感じたら、無理に走行を続けず、安全な場所に停車する
- ハンドル操作に強い違和感がある場合は、レッカーの手配も検討する
- 小さな違和感でも自己判断で様子を見ず、早めに整備工場で点検を受ける
大切なのは、故障してから修理することではなく、故障する前に見つけることです。車は毎日使うものだからこそ、不具合は少しずつ進行します。
タイガー商事の足回り点検について
タイガー商事では、オイル交換だけではなく、お客様の大切なお車を安心して長くお乗りいただくために、足回りやステアリングを含めた日本の車検基準で総合的な点検を行っています。
「まだ大丈夫」が、「あの時点検しておけば良かった」にならないように。私たちは、すべてのお客様の快適・安心・安全なマレーシアカーライフを応援しています。
その異音、放置していませんか?
ハンドルのふらつきや足回りの異音など、気になる症状があればお気軽にご相談ください。






